Champagne Louis Roederer: Vineyard Visit
ルイ・ロデレールは、グラン・クリュ村とプルミエ・クリュ村を中心に、244ヘクタールの畑を所有しており、全生産量の70%を自社畑でカバーしている稀有なメゾン。自社
畑から穫れる高品質のブドウが、ルイ・ロデレールのシャンパーニュの原点であり、ルイ・ロデレールがシャンパーニュ最大の「栽培醸造家」と言われる所以です。
自社畑は、410の区画(lieu-dit)から成り、区画ごとに450ものタンク・樽で別々に醸造され、ブレンディングまで保管されます。
買いブドウを使用しているのは、NVのBrut Premierのみで、Vintage以上のキュヴェは、すべて自社畑のブドウから作られている、畑にこだわったメゾン。そして、どんどん自社畑の、ビオディナミ栽培を進めています。
醸造長、兼栽培責任者のJean-Baptiste Lécaillonさんによると、きっかけになったのは1996年ヴィンテージ。天候に恵まれた年で、90年代の偉大な年であったにもかかわらず、出来上がったワインは、思っていた通りではなく、何かを変えないといけないと考えました。そこから、ブルゴーニュ等の生産者を訪ね、ビオディナミや自然農法に行き着いたのです。
今回は、ルイ・ロデレールのプレスティージュ・キュヴェである「クリスタル」のブレンドに使用される、グラン・クリュやプルミエ・クリュ村の畑を中心に周り、また収穫時に使われるプレスハウスを見学させていただきました。モンターニュドランスにある、Verzenay村の畑(北東向きでエレガントでありながら骨格のあるピノ・ノワール)、Verzy、Valle de la MarneのAy、コートデブランのAvize、Cramant、Mesnilなどなど。
なかでも特筆すべきは、Cumières村にある畑で、ここは、ビオディナミのDemeter認証も取得しています。南向きで日当たりがよく、ブドウがよく熟します。
ルイ・ロデレールの歴史のなかで、一番新しい商品である、ドサージュなしの「Brut Nature」は、この畑のブドウから作られます。これまで、2006年(first vintage)、2009年をリリースしていますが、Brut Natureを作らない年のブドウは、NVのBrut Premierに使われます。
上述では、区画別に醸造すると書きましたが、その例外がこの畑のブドウ。この畑には、ピノ・ノワール、ムニエ、シャルドネの3つの品種が植えられており、畑で「ブレンド」が行われる「field blend」。3種の品種を同時に収穫し、一緒に発酵(co-fermentation)、醸造します。意図しているのは、品種の個性を消し、土地の個性(テロワール)を引き出したワインを作ること。
ビオディナミ栽培、ゼロ・ドサージュでテロワールを重視したシャンパーニュです。美味しいです!