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my wine journey

Domaine Dujac from Burgundy

みなさん、ステイホームの日々ですが、いかがお過ごしでしょうか。お家でワインを開ける機会も増えているのでは。わたしは、お家でたくさんのボトルを開けつつ、あちこちで開催されているウェビナーやインスタライブなどに、できるだけ参加しています。こういった、オンラインで、直接的なコミュニケーションが増えているのは、遠くにいても、世界中の生産者やワインラバーたちと繋がることができて、難しい今の時期の楽しみの一つになっています。


先日、ブルゴーニュのDomaine Dujacの当主である、ウェビナーに参加しました。テーマは、Wholecluster winemaking(全房発酵でのワイン造り)。


同年代であるJeremyさんとは、何度かお会いしていて、昨夏には、モレ・サン・ドニ村のドメーヌにも訪問しました。奥さんのダイアナさんは、ナパ出身でUC Davisで醸造学を学んだ醸造家です。ご実家も、ナパにあるSnowden Vineyardsというワイナリーです。



以下、箇条書きのメモですが、これまでジェレミーさんから伺ったことを、書き留めます。

 

★家族のドメーヌを継ぐことを決めたとき・・・


・Dujacは、1968年に、ジェレミーの祖父が始めたドメーヌ。元々、ワインに情熱をもっていて、数々のドメーヌとも付き合いがあった祖父が、ブルゴーニュのドメーヌを購入したことが始まり。

・ワインが食卓にある家庭で育ったが、ジェレミー自身は、必ずしもワイン醸造家になることを考えているわけではなかった。小さい頃は動物の仕事に就きたいと思っていて、学生時代は6年間、毎夏、水族館で働いていた。

・1994年、初めて父の収穫を手伝った。父からのプレッシャーはなかったのだが、収穫を手伝いに来たことで、父としては良い機会だと思ったよう。そして、それ以来、毎年、ドメーヌに戻り収穫に参加し、結果的にドメーヌを継ぐことになった。

・その後、イギリスでの大学で、ワインサークルに参加するなどワインへの興味が増していった。

・そして、2004-2005年くらいに、父がステップダウンし、事実上、ジェレミーがドメーヌの当主となった。


★Wholecluster winemakingについて


・1980年代、1990年代は、全房発酵する造り手はいなかった。2000年代もあまりいない。理由のひとつは、「vegetal」(青っぽい、果実の未成熟さ)なフレーバーがあるワインは到底受け入れられず、ワインの評価は地に落ちたも同然だったことがある。

・現在では、栽培技術が向上したことが、全房発酵の成功要因の一つであることは間違いない。全房発酵は醸造の観点からの話にされがちだけれど、栽培も大事。

全房発酵は、うまく行うと、複雑性が増す。実は、2008年や2013年のように、冷涼な収穫年でもうまくできる。

・アンリ・ジャイエが、除梗した(destemmed)ブドウからのワインの頂点であるとするなら、こういったワインのリッチでシルキーなテクスチャやまろやかさは、全房発酵のワインでは実現できない。逆に、全房発酵のワインが最高の結果を出した場合、アロマの複雑性など、除梗したワインでは到達できないレベルになる。つまり、両方の頂点を得ることはできず、完璧なテクスチャか素晴らしいアロマか、どちらかを選ばないといけない。


全房発酵の割合は年によっても、畑によっても変わる。若い樹齢のブドウは、より除梗する必要がある。

・場所によっても変わる。ジュヴレ・シャンベルタンとニュイ・サン・ジョルジュは、より除梗する傾向にある。そうはいっても、25%程度の除梗(75%の全房発酵)なので、それでもかなり全房発酵の割合が高い。ヴォーヌ・ロマネ、シャンボール・ミュジニー、モレ・サン・ドニは、除梗が10%程度と、除梗の割合が低い。つまり、全房発酵によるスパイシーさなどが、これらの村ではうまくいく。

・(収穫時期についての質問に対して)全房発酵のためには茎が完全に熟していないといけないというが本当か?->YES 全房発酵と除梗とで、収穫のタイミングを変えることはない。最適な時に収穫を行う。

全房発酵のワインは、色調が淡めだが、intensityは高い。


全房発酵と酸の関係: Potassium(カリウム)の多くは梗にあるため、(カリウムが酒石酸と結合して酒石として析出するので)全房発酵のワインの酸は、除梗のものより若干下がる。したがって、酸が低い、暖かい収穫年には、除梗をしたほうがよいかもしれない。2018年は非常にブドウが熟した年だったが、実験的に、100%除梗したワインと100%全房発酵のワインを仕込み比較したが、個人的には、全房発酵の方が好ましかった。

全房発酵のワインからは、酸によるものではなく、若干のメントールや青っぽい香りなど、アロマによるフレッシュさが感じられた。


全房発酵とカーボニックマセレーション(CM)の関係(質問を受けて):早い段階からパンチダウンをおこなうので、CMの影響はない。個人的には、CM特有のバナナといった香りは、テロワール由来ではなく醸造テクニックによるものであり、好まないので避けたい。


★ボンヌ・マールについて

(2005年のボンヌ・マールの区画の買い足しにより、何かワインスタイルに変化があったか、の質問に対して


・現在、合計で0.43ヘクタールを所有しているが、2005年に買い足したのは0.14ヘクタール分。大幅な増加ではない。

ボンヌ・マールは、モレ・サン・ドニ村側の粘土が多いRed soilsと、シャンボール・ミュジニー側の石灰が多いWhite soilsの2つの土壌で知られる。Red soilsのワインは、groundedでbroadな特徴であるが、subtlenessやdetailsに欠ける。White soilsのワインは、フローラルで、軽やかな重心が高い(lifted)が、若干thinである。

・2005年に追加された区画は、すべてWhite soilの部分。これにより、White soilsのワインの割合が高くなった。現在では、4分の3がRed soilsで、残りがwhite soils。両者をブレンドしてワインを造るので、バランスがよくなった。


★ネゴシアン、その他


・「Dujac Fils et Pere」のラベルは、ネゴシアンのワイン。先にFils(息子)が表記されているのは、「父(pere)がサポートしている息子のプロジェクト」という意味合い。

・「Domaine Dujac」の自社畑はオーガニック栽培であるが、ネゴシアン用のブドウも一部がオーガニック栽培であり、そうでない場合でも、除草剤は使用していない。ブドウの収穫も自分達でおこなう。

・ネゴシアンもすることで多少生産量はあがっているが、ブルゴーニュでは、ブドウ価格が高騰していて、栽培農家の売り手市場なので、簡単ではない。

・ネゴシアン用のブドウは、除梗する割合が、(5-10%ほど)高い。(全房発酵率が若干下がる)また、より抽出が必要なため、パンチダウンを、より頻繁に行っている。新樽比率は、ドメーヌものより若干低い。



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